
健康診断で便潜血検査が陽性となったり、大腸内視鏡検査を受けたりした際に、「大腸ポリープが見つかりました」と言われることがあります。
突然ポリープがあると聞くと、「がんなのではないか」「すぐに治療が必要なのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
大腸ポリープのすべてががんというわけではありません。しかし、種類によっては時間をかけて大腸がんへ進行するものがあるため、早期に発見し、必要に応じて切除することが大腸がんの予防のために大切です。
今回は、大腸ポリープとはどのようなものなのか、大腸がんとの関係、検査や治療、切除後の定期検査について分かりやすく解説します。
大腸ポリープとは
大腸ポリープとは、大腸の粘膜の一部が盛り上がった病変の総称です。
きのこのように茎のあるものだけでなく、平らに盛り上がったものや、周囲の粘膜と見分けにくい平坦なものもあります。大きさも数ミリ程度の小さなものから、数センチ以上になるものまでさまざまです。
代表的なものに「腺腫(せんしゅ)」があります。腺腫は良性の腫瘍ですが、時間の経過とともに大きくなり、一部が大腸がんへ進行することがあります。また、「SSL(鋸歯状病変)」と呼ばれる、平坦で見つけにくい病変の一部も、大腸がんの原因になると考えられています。
一方で、将来がんになる可能性が低く、経過観察でよいポリープもあります。切除が必要かどうかは、ポリープの大きさ、形、表面の模様、色調などを内視鏡で観察して判断します。
大腸ポリープは症状が出る?
大腸ポリープの多くは、できても自覚症状がありません。
ある程度大きくなったり、ポリープの表面から出血したりすると、便潜血検査で陽性となることや、便に血が混じることがあります。しかし、ポリープがあっても必ず出血するとは限らないため、便潜血検査だけですべてのポリープを発見できるわけではありません。
大腸がんについても、早期の段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると、血便、便が細くなる、便秘や下痢を繰り返す、おなかが張る、貧血などの症状が現れることがあります。
症状がないうちに検診や大腸内視鏡検査を受けることが、早期発見のためには重要です。
なぜ大腸ポリープを切除するの?
大腸がんには、正常な粘膜から直接発生するものもありますが、腺腫などのポリープが少しずつ大きくなり、がんへ進行するものがあります。
そのため、将来がんになる可能性のあるポリープを早い段階で発見し、内視鏡で切除することで、大腸がんの発生や大腸がんによる死亡のリスクを減らす効果が期待できます。
ただし、すべてのポリープを必ず切除するわけではありません。がん化する可能性が低いと判断される小さなポリープについては、切除せず経過をみる場合もあります。
また、大きな病変や、がんが粘膜の深い部分まで入り込んでいる可能性がある病変では、日帰りでの切除が難しく、専門医療機関での治療や外科手術が必要になることがあります。
大腸ポリープを見つける検査
大腸ポリープや大腸がんを調べる代表的な検査には、便潜血検査と大腸内視鏡検査があります。
便潜血検査
便潜血検査は、便の中に目では見えない少量の血液が混じっていないかを調べる検査です。
日本では、40歳以上の方を対象に、年1回の大腸がん検診として便潜血検査を受けることが推奨されています。
便潜血検査で陽性となった場合は、「痔からの出血だろう」と自己判断せず、大腸内視鏡検査による精密検査を受けることが大切です。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、肛門から細い内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。
ポリープや大腸がん、炎症などを詳しく確認できるほか、病変の一部を採取する「生検」や、ポリープの切除を同時に行うことができます。
大腸ポリープの治療方法
切除が必要な大腸ポリープの多くは、大腸内視鏡を使って治療できます。
ポリープの大きさや形に応じて、専用の器具でポリープを切り取る「ポリペクトミー」や、病変の下に液体を注入して持ち上げてから切除する「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」などを使い分けます。
切除したポリープは病理検査に提出し、
- どのような種類のポリープか
- がん細胞が含まれていないか
- 病変が十分に切除されているか
- 追加の治療が必要か
などを顕微鏡で詳しく調べます。
病理検査の結果によっては、追加の内視鏡治療や外科手術が必要になる場合があります。
当院では、大腸内視鏡検査中に切除可能なポリープが見つかった場合、日帰りでの大腸ポリープ切除術を行っています。大きさや形などから当院での切除が難しいと判断した場合は、治療可能な専門医療機関をご紹介します。
ポリープを切除した後も検査は必要?
一度ポリープを切除しても、別の場所に新しいポリープができることがあります。そのため、ポリープを切除した後も、定期的な大腸内視鏡検査が大切です。
次回の検査時期は、切除したポリープの個数、大きさ、種類、病理検査の結果、切除方法、検査時の腸内の状態などによって異なります。
自己判断で検査を中断せず、医師から案内された時期に再検査を受けましょう。
このような方は大腸内視鏡検査をご検討ください
次のような方は、大腸内視鏡検査を受けることをご検討ください。
- 便潜血検査で陽性となった
- 便に血が混じる、トイレットペーパーに血がつく
- 便秘や下痢など、便通の変化が続いている
- 以前より便が細くなった
- 原因のはっきりしない貧血を指摘された
- ご家族に大腸がんや大腸ポリープになった方がいる
- 過去に大腸ポリープを切除したことがある
- 40歳以上で、これまで大腸の検査を受けたことがない
血便や便通異常などの症状がある場合は、次回の健康診断を待たずに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
大腸ポリープの多くは症状がないため、自分で気づくことは困難です。
すべてのポリープががんになるわけではありませんが、腺腫などの将来がんになる可能性があるポリープを早期に発見し、必要に応じて切除することは、大腸がんの予防につながります。
便潜血検査で陽性となった方や、血便、便通の変化などがある方は、症状を放置せずご相談ください。
当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸内視鏡検査にも対応しています。また、検査前の下剤を院内のトイレ付き個室で服用していただくこともできます。
大腸内視鏡検査に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。
